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英語 Q and A

このブログは英語学習に関するさまざま質問とそれに対する私独自の回答を収めるために開設されたものです。 英語に関する悩みを少しでも減らし、実りある学修を続けていきましょう。 タイトルをクリックすれば閲覧できます。

   

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英語に関する素朴な疑問(その4)

Q.31「~のおかげ」を意味する thank to と due to の違いは何ですか。
Q.32「洋楽」は English music で通じますか?
Q.33「娯楽」は entertainment と amusement
の違いは何ですか
Q.34「~になる」は become と be
の違いは何ですか
Q.35 「死ぬ(die)」は状態動詞ですか?それとも動作動詞ですか?
Q.36 must と have to の違いは何ですか?

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Q.31「~のおかげ」を意味する thank to と due to の違いがわかりません。
due の語義は「借りがある」であるため、「義務」とか「責任」を連想させる語彙となっています。したがって、今では「予定」とか「期限」、「相応の対応」といった意味で使用され、全体的にネガティブな内容になる傾向があります。

(a)The next bus is due in five minutes.(予定)
(次のバスは5分後に出発予定です)
(b)The report is due to on Sunday night.(期限)
(リポートの提出期限は日曜日夜までです)
(c)You should drive with due care.(相応の対応)
(十分に用心して車は運転したほうが良い)

日本の「おかげ」にはどうしてもプラスのイメージがあるので、due (to) は「のせいで」ぐらいで認識しておいたほうが良いと思います。
一方、thanks to は thank という単語からもわかるように、ポジティブ(肯定的な)内容の場合に使用される傾向があります。

(d)Thanks to you, I managed to pass the exam.
(きみの(きみが手伝ってくれた)おかげで、なんとか試験に合格できたよ)

しかし、ポジティブだからといって常に良い意味になるというわけではなく、ときにそのポジティブな意味を逆手にとって「皮肉的に」使うこともあります。

(e)Thanks to you, I had to go home by taxi.
(きみのおかげで、タクシーで家に帰るはめになったよ)
※「きみが失敗してくれたおかげで、ボクが1位になれたよ」にはかなり「皮肉」が感じられるのと同様です。

そこで、以下の問題文をあらためて見てみましょう。
鉄道が嫌いだった首相のおかげで、イギリスではほとんどの高速道路を使うのに少しも費用がかかりません。
「鉄道が嫌い」であることは確かにネガティブですが、しかしそれに続く「高速道路がタダ」という内容は明らかにポジティブなものです(有料より無料のほうが良いですからね)。
仮に「当時の首相が鉄道が嫌いだったから、今も鉄道がない」であれば due to を使うでしょうが、上記の問題文にはそれとなく皮肉的なニュアンスが感じられます。よって、解答例では thanks to になっているのだと思われます。
しかし、due to が絶対にダメかと言われると、それはそれで微妙ですので(こういう場合は日本語のわかる英語母語話者に聞く必要があるでしょう)、今回はどちらも正解という判定にしたいと思います。
ただし、「より良いのはどちらか」と聞かれれば、上記の説明のとおり、thanks to になるでしょう。要するに、thanks to が◎、due to は〇といった感じでしょうかね。



Q.32 「洋楽」は English music で通じますか?
「洋楽」はふつう Western music と言います。
「洋」は本来は「海」という意味ですが、洋服や洋食、洋菓子などの言葉からもわかるように、「洋〇」となった場合は、そこでの「洋」は「西洋」のことを指します。
ただ、日本(国内)でいう「洋楽」は、基本的には英語による歌のことでしょうから、それを指す場合は English songs が良いと思います(English musicでも通じるとは思いますが)。
あるいは、実際のコミュニケーションの場を考えた場合、「英語の歌が好きなんだよ」と言っても、「例えばどんなジャンル?」とか「好きなアーティストは?」と聞かれるでしょうから、より会話を円滑に、かつ盛り上げるためにも、British rock とか American Hip-Hop、I like BTS. といったように、具体的に言うのがよりベターかと思います。



Q.33「娯楽」を意味する entertainment と amusement の違いは何ですか?
amusement は「人や物が人を楽しませる」という意味です。
「遊園地」のことを amusement park といったり、「ゲームセンター」のことを amusement arcade といったりしますね(arcade だけでも通じますが)。

entertainmentamusement の違いは、概略、(a)大衆向け個人向けか、(b)鑑賞向け体感向けかです。
たとえば、映画は entertaiment ですが、遊園地の乗り物は amusement です。
一方、漫画や小説は大衆向け(鑑賞向け)であるため基本的には entertaiment となりますが、人によっては個人で楽しむ、その世界を体感すると考え、amusement と判断するかもしれません。



Q.34「~になる」は become と be の違いは何ですか?
become と be は似て非なるものです。
たとえば、She was angry.といった場合、彼女はその時点ですでに怒っていたことを意味します。一方で、She became angry.はそのとき怒ったことを意味します。
若干まどろっこしい説明をすれば、She was angry. の状態になる前に She became angry. をした(became してから was になった)ということになります。
要するに、become は X から Y への変化を表す場合に用いられ、be はその時点で Y の状態になっていることを表す場合に用いられるものです。一言でいえば、become は変化be は状態です。

よく、「将来、医者になりたい」という日本語を英訳する際、I want to be a doctor. と I want to become a doctor. をイコールで結ぶことがありますが、厳密にはイコールではありません。
前者は「将来のある時点では医者(という職業)になっていたい」という意味であり、後者は「将来、医者でない状態(無免許)から医者(有免許)になりたい」という意味です。
結果的には似たような意味を表すことになりますが、しかし、両者が表す意味が微妙に違います。

たとえば、「テレビゲームは単なる娯楽の形態から、デジタルアートの形態になるまで」の場合は、〈変化〉の意味合いを強く感じるため、become が適切かと思います。



Q.35 「死ぬ(die)」は状態動詞ですか?それとも動作動詞ですか?
その二分法でいえば、「死ぬ」(die)は動作動詞です。
しかし、自分で命を絶たない限り、自分の意志とは関係なく寿命を迎えて「死ぬ」わけですから、それを「動作」と呼ぶのはなんだか変ですよね。

学校では、状態動詞(state verb)、動作動詞(action verb)という二分法を使うのが一般的ですが、語学の世界では、動作動詞ではなく、「出来事動詞」(event verb)を使うのが良いとされます。
出来事動詞の中には、人の動作を表す動詞(すなわち、動作動詞)はもちろんのこと、人の意志とは関係ない(世の)事象を表すもの、例えば、occur / happen(起こる)や sneeze(くしゃみ)、forget(忘れる)などを含みます。
この出来事動詞という名称を採用すれば、「死ぬ」を「動作」とは考えず、単なる事象、すなわち「出来事」となるので、違和感なく理解できると思います。

ちなみに、出来事動詞もさらに細分化されます。
たとえば、sneeze のように一瞬で終わる出来事と forget のようにいつその出来事が起こったのか当の本人でさえ認識していないものとではやはり差がありますよね。
「英語って実は深いかも」と興味があるようでしたら、英語学の世界を今後学んでみると良いと思います(「英語学〇〇」という授業があることでしょうから)。



Q.36 must と have to の違いは何ですか?
かつて以下のような質問を受けたことがあります。長いですが、全文をそのまま掲載します。
とある参考書にて must と have to の品詞以外の違いとして、「must よりも have to が感じが柔らかい」との記載がありました。また、must は話者からの義務、have to は周囲の状況からの義務といった記載もあり、これにより have to のほうが感じが柔らかいことは理解できるだろうとの記載があったのですが、知人にこの話をすると「むしろ逆なのではないか」と言われました。
例えば、You must go home by ten o'clock. と You have to home by ten o'clock. を比較すると、どちらも「あなたは10時までに帰らなくてはいけない」という意味になりますが、must を使っているほうは「話者が親などで門限をしている可能性」などが考えられ、have to を使っているほうは「親、または地域の人などが地域の条例などにより10時に帰らなくてはいけないといっている可能性」などが考えられ、一家庭のルールと条例ならば、強い拘束力をもつのは条例のほうであり、have to のほうが意味合い的には強いのではないかと言われました。実際この意見を言われて私は反対意見が出せませんでした。参考書に記載があるからそれに従うしかないといってしまえばそれまでですが、実際のところ、違いはどのようなものなのでしょうか?
結論から先にいえば、両者の違いは、must が表す義務には「話し手の思いや考え、関与」が含まれるのに対し、have to にはそれが含まれない(仮にあっても、それを表に出さない)という点に帰着します。例えば、次の文をみてみましょう。

(a)This is a terrible party, and we must go home.
(b)This is a lovely party, but we have to go home because of the children.

 (a)では、早く帰りたいという話し手の思いが感じ取れます。一方(b)では、自分としては帰りたくないけど、しぶしぶ帰らざるを得ないというニュアンスが感じ取れます。この話し手の存在・関与の有無がある意味で must と have to の究極的な違いです。
 門限を例にとれば、門限が決まっていて、それに話し手自身も同意している場合は must を使うほうが良く、「わたしはまだ帰りたくないんだけど、親がね…」と門限に納得していない感じを出すには have to を使うほうが良いです。
 また、You ... と二人称主語で相手に義務を課す場合、「なんでおまえにそんなこと言われないといけないんだよ」という事態になる可能性もあります。そこで、話し手の関与がない(それを隠す)have to が使用され、中立的な義務としてそれを課す場合もあります。

(c)You must wear a seatbelt while driving because it's dangerous.
(d)You have to wear a setbelt while driving accroding to the law.

どちらでもシートベルトはつけてくれるでしょうが、(d)のように、法律を盾にしたほうが相手はこちらの発言を受け入れてくれそうですよね。
 知人の方が言うように、(d)を考えると have to のほうが拘束力が強いです。しかし、拘束力が強いからといって、その発言が相手に響くかは別問題です。
 「宿題しなよ、バカなんだから」と言われたら相当カチンときますが、「宿題しなよ、出さないと10点減点って先生言っていたよ」と言われたらむしろありがとうと思うこともあるでしょう。前者が話し手の関与アリ、すなわち must 系統で、後者が話し手の関与ナシ(先生が言ってたことを伝えているだけ)、すなわち have to 系統です。つまり、この場合は have to のほうが柔らかく響くでしょうね。
 人というのはおもしろいもので、同じ(あるいは似た)表現であっても、そのときどきで意味の捉え方が変わります。「最近痩せたね」が「体調でも悪いの?」というネガティブな意味で取るときもあれば、「すごいね!ダイエットでもしてるの?」というポジティブ(?)な意味で取るときもあります。この意味が多重で解釈される裏には、単語であったり文法であったり、立場であったり、その国の文化であったり、いろいろなものが関与しています。
 わたしは高校時代、単語と文法をひたすらに覚え、英文を読解し、問題を解くということを繰り返していました。それはたいそうつまらないものでした。上記のような、ちょっとしたことから発生する意味の違いに魅了され、そういった表面的な学習から卒業し(それはそれで大事だと思いますが)、言葉のおもしろさを研究するようになりました。
 深い学びを通じて、皆さんの中からもそういった人が一人でも多く出れば良いなと思います。



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「英語に関する素朴な疑問(その1)」はこちら
「英語に関する素朴な疑問(その2)」はこちら
「英語に関する素朴な疑問(その3)」はこちら

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